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第3話|京間サイズ ― 大型畳はなぜ高くなるか

畳は一見すると規格品に見える。だが実務では一枚ごとに寸法が違う「現場特注品」だ。

特に**京間(きょうま)**や大型寸法になると、単なるサイズ違いでは済まない。
構造・施工・リスクが変わる。


寸法と面積差

関東間(江戸間)

約880×1760mm。


京間

約955×1910mm。


面積差は約20%近い。
これは「少し大きい」ではない。
構造的に別物と言ってよい。


① 重量増加という物理的現実

藁床であれば1枚50kg近くになることもある。
建材床でも確実に重くなる。

重量が増えると何が変わるか。

  • 搬入経路のリスク増
  • 作業人数の増加
  • 腰・膝への負荷増
  • 落下・壁当ての事故リスク増

面積20%増は、作業負担20%増ではない。
安全管理の難易度が跳ね上がる。


② 材料歩留まりの悪化

畳表は一定幅で織られている。
織機は規格で動く。

大型寸法になると、

  • ロスが増える
  • 表替え時の裁断余裕が減る
  • 縫製負荷が上がる

小さな歪みが目立つ。
張り直しリスクが上がる。

ここは数字に出にくいが、
熟練度が直接利益率を左右する部分だ。


③ 床構造との整合問題

古い京間住宅は柱芯寸法が現代住宅と異なる。
柱割りが違う。
基礎精度も違う。

求められるのは、

  • ミリ単位の採寸精度
  • 既存床の反り・沈みの把握
  • 経年歪みの補正

誤差数ミリで、

  • 隙間が出る
  • 突き上げる
  • 角が浮く

畳は平面。
だが建物は三次元的に歪む。

サイズが大きいほど、
その歪みを増幅して拾う。


価格×1.2は合理的

材料増。
労務増。
リスク増。

この三重の増加により江戸間畳より大型畳(京間畳)は価格があがる。
リスク管理費の反映として、同等レベルの江戸間畳より2割ほど販売価格が上昇する。


大型畳の本質

大型畳は「見栄え商品」ではない。施工難易度商品だ。

ここを理解せず価格だけで比較すると、

  • 採寸精度が甘くなる
  • 縫製が荒くなる
  • 床補修を省略する

結果として品質が落ちる。

畳は平面だが、建物は歪む。

大きいほど影響を受ける。

だから大型畳は高い。それは装飾費ではなく、精度と安全の費用である。

構造を理解しているかどうかで、価格の見え方は変わる。

畳のお話 完結版

第一話

第二話

第三話

第四話

第五話

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