職人夫婦、い草農家に丁稚奉公。
畳の本当の価値を知るため、高知県の産地へ行ってきました。
「畳はどこで作られているの?」
「国産と中国産って何が違うの?」
お客様から、このような質問をいただくことがあります。
私たちは25年以上、畳の張替えをしてきました。しかし、畳表になる前の「い草」がどのように育ち、どれほどの手間をかけて作られているのかを、自分の目で見て、体で体験したいと思い、高知県のい草農家へ丁稚奉公に行ってきました。
最盛期の数十分の1まで減った「い草農家」
今回お世話になった農家さんから最初に聞いたのは、とても衝撃的なお話でした。
かつて数多くあった日本のい草農家は、現在では最盛期の約20分の1程度まで減少しているそうです。
安価な輸入品の増加、後継者不足、重労働…。
日本の畳文化を支えてきた産業は、今まさに大きな転換期を迎えています。
だからこそ、私たちは実際に現地へ足を運び、少しでも応援したいという思いで今回の研修に参加しました。

泥の田んぼで杭を打つ仕事
い草は自然に真っ直ぐ伸びるわけではありません。
田んぼの中へ一本一本杭を打ち、その上にネットを張ることで、美しい畳表になる真っ直ぐない草へ育っていきます。
私も実際に泥の中へ入り作業を体験しました。
想像以上の重労働です。
足は泥に取られ、体力も消耗します。
普段、お客様のお宅で完成した畳しか見ていない私たちですが、その一枚の畳の裏側には、このような大変な作業があることを改めて実感しました。

い草の成長度合い、品質によるグレードわけ
収穫されたい草は、成長の度合いによって品質が分けられます。
私たちが見せていただいたものは、
- 最高級品(松クラス)
- 標準品(竹クラス)
- 普及品(梅クラス)
というグレード分けでした。
長く、太く、色艶が良く、均一に育ったい草ほど高品質になります。
畳は見た目だけではなく、一本一本のい草の品質によって耐久性や美しさが変わります。

畳の幅に合わせて端を切り落とします
ここで意外だったことがあります。
一般的な江戸間の畳幅は約90cm。
しかし、収穫されたい草はもっと長く育っています。
畳表を織る前に、その長さへ合わせて両端を切り揃えます。
つまり、高品質ない草ほど長いため、切り落とす部分も多くなります。
反対に短いい草では切り落とす量が少なく、細い部分まで使われることになります。
私たちが普段何気なく見ている畳ですが、その一枚には品質を保つための大きな工夫が隠されていました。

「とうしんそう」が畳の中心
い草を切ってみると、中には白い芯があります。
これが「とうしんそう」です。
スポンジのような細かな空洞が無数にあり、
- 湿気を吸う
- 乾燥すると放出する
- 空気をきれいに保つ
という働きをしています。
畳が「呼吸している」と言われる理由は、このとうしんそうにあります。
天然素材だからこそできる、日本ならではの機能です。

中国産との違いについて
現在、日本国内では中国産の畳表も数多く流通しています。
中国産すべてが悪いという意味ではありませんが、長期間の船便輸送では、防カビや防腐のための処理が施されることがあります。
一方、国産い草は国内で収穫・加工・流通されるため、そのような輸送条件は大きく異なります。
私たちは、小さなお子様やアトピー、喘息などが気になるご家庭には、国産い草という選択肢もぜひ知っていただきたいと考えています。

畳の裏では何が起きているのか
25年以上現場に立っていると、畳の裏側を見る機会が数え切れないほどあります。
絨毯やカーペットを長期間敷きっぱなしにしていたために、
- カビ
- ダニ
- シロアリ
- 床板の腐食
まで進行している現場も少なくありません。
畳がフカフカ、ベコベコすると感じたら、畳だけでなく床板まで傷んでいる可能性があります。
だから私たちは、見えない部分もできるだけお客様へお見せしています。
少しショッキングな写真もありますが、「知らなかった」で大きな修繕費になってしまう方が、もっと残念だからです。

私たちが産地へ行く理由
今回の研修で改めて感じたことがあります。
畳は工場で完成する商品ではありません。
農家さんが一年かけて育てたい草。
加工する職人。
畳表を織る人。
そして最後に、お客様のお宅で施工する私たち。
多くの人の手を経て、一枚の畳になります。
だから私たちは、現場だけではなく産地も学び続けます。
知識だけではなく、実際に見て、触れて、体験したことを、お客様へ正しくお伝えしたいからです。

あとは全部、職人夫婦におまかせください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
少し話が熱くなってしまいました。
職人あるあるということで、お許しください(笑)。
高知のい草農家で学んだことも、25年以上現場で積み重ねてきた経験も、すべてはお客様の住まいを長持ちさせるため。
難しいことは考えなくて大丈夫です。
畳・襖・障子・網戸・ガラスフィルム・住まいのお困りごとまで。
あとは全部、職人夫婦におまかせください。
